建設業許可取得後に必要な手続きとは?
建設業許可申請書類を福岡県の管轄土木事務所で受理されてから、県知事許可で約2ヶ月間、大臣許可で約4ヶ月間の審査の後、許可通知書が交付されます。
許可通知書は、A4サイズの用紙1枚です。許可番号の入った金看板が交付されるわけではございませんのでご注意を。
許可通知書には、許可の有効期間と許可番号が記載されていますので大切に保管してください。
許可取得後の営業所運営と手続き
建設業許可を取得した後は、許可を維持するための要件を常に満たし続ける必要があります。営業所の実体や技術者の常勤性など、許可取得時と同じ基準を継続して守ることが求められます。
また、許可後の事業運営では、営業所への標識(看板)の設置、技術者の配置、契約書や帳簿の適正な管理など、建設業法で定められた手続きや義務が多く存在します。これらを怠ると、行政指導や監督処分の対象となる場合もあります。
このページでは、建設業許可取得後に必要となる営業所運営上の実務と、各種手続きの流れについて分かりやすく解説します。日常の業務に直結する重要な内容ですので、ぜひ一つずつ確認しておきましょう。
標識(看板)の設置
建設業の許可を受けた業者は、必ずその事務所及び工事現場毎に見やすい場所に標識を掲げなければなりなりません。
建設業許可業者が標識を事務所に掲げる場合
左の写真のような事務所の入り口や応接室に掲げる標識のことです。
標識のサイズは、縦35cm以上×横40cm以上で、標識には、「商号又は名称」、「代表者の氏名」、「一般建設業又は特定建設業の別」、「許可を受けた建設業」、「許可番号」、「許可年月日」等を記載します。
許可が取得できたことで安心して事務所に標識を設置することを忘れている方を時々見受けられますが、更新(3回目以降はなし)や営業所所在地の変更の際に実施される営業所調査で指摘されますので忘れずに設置しましょう。
サイズや記載事項に指定がありますが、専門の看板作成業者に任せれば間違いないでしょう。価格は、素材やサイズ、額のあるなしによって幅があるようです。当事務所では、看板作成業者の紹介や標識の手配等もお手伝いさせていただいております。
建設業許可業者が標識を建設工事現場に掲げる場合
工事現場に設置している標識は、町を歩いているとマンションやビル等の建設現場でよく見かけますね。
建設工事現場に掲げる標識のサイズは、縦40cm以上×横40cm以上で、標識には、「商号又は名称」、「代表者の氏名」、「主任技術者の氏名」、「専任の有無」、「資格名・資格者証交付番号」、「一般建設業又は特定建設業の別」、「許可を受けた建設業」、「許可番号」、「許可年月日」等を記載します。
建設業の営業にあたって注意すること
建設業許可は、業種ごとに許可を取得しますので、許可を取得していない業種の工事は請負うことができません。
ただし下記のような場合には、この限りではありません。
- 1件の工事請負金額が500万円(税込)未満の軽微な工事(建築一式工事は1,500万円(税込)未満または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事)
- 許可を受けた業種の工事に附帯する建設工事
また、元請する場合には注意が必要です。特定建設業の許可がない者が、下請代金の総額が5,000万以上(建築一式工事は8,000万円以上)となる下請契約は締結できません。
技術者の配置
建設工事の適正な施工を確保するために、事務所や工事現場に一定の施工技術を有する技術者を配置しなければなりません。
この技術者は、直接的、恒常的に雇用関係にある者、要するに自社の従業員・社員でなければなりません。
- 専任の技術者(許可業種ごとに必要な技術者)
- 主任技術者(元請・下請を問わず工事現場に置かなければならない技術者)
- 監理技術者(特定建設業の許可が必要な工事現場に置かなければならない技術者)
また、公共性のある工作物に関する重要な工事の場合には、「専任主任技術者」や「専任監理技術者」を置かなければなりません。
建設工事請負契約書の作成と適正化
建設工事の請負契約の締結に際して、工事内容、請負代金の額、工事着手及び工事完成の時期、支払い時期とその方法等を記載した契約書を取り交わさなければなりません。
建設工事請負契約書に記載する事項は下記を参考にしてください。
- 工事内容
- 請負代金の額
- 着手・完成時期
- 前払金、出来高払の時期、方法
- 設計変更、工事中止の場合の工期、代金の変更、損害の負担
- 天災、不可抗力による工期変更、損害の負担
- 価格変動による請負代金、工事内容の変更
- 工事施工による第三者への損害賠償の負担
- 注文者による資材提供、機械貸与の内容、方法
- 完了検査の時期、方法、引渡し時期
- 完成後の請負代金の支払時期、方法
- 履行遅滞、債務不履行の場合の遅延利息、違約金、その他の損害金
- 契約に関する紛争の解決方法
建設業者は、その請負った建設工事を一括して他人に請負わせてはなりません。(ただし、公共工事以外で元請人が予め発注者の書面による承諾を得た場合を除く)
帳簿及び営業に関する図書の保存
建設業者は、営業所ごとに、その営業に関する事項を国土交通省に定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書を保存しなければならないこととされています。(建設業法 第40条の3)
帳簿とは何か?
帳簿には、営業所の代表者の氏名や請負契約・下請契約に関する事項などを記載することが必要です。以下は帳簿に記載すべき具体的な項目の一覧です。
記載すべき事項(概要)
帳簿に記載する事項は以下のとおりです(建設業法施行規則第26条第1項)。
- 営業所の代表者の氏名及びその者が営業所の代表者となった年月日
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注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項
- 請け負った建設工事の名称及び工事現場の所在地
- 注文者と請負契約を締結した年月日
- 注文者の商号・名称(氏名)、住所、許可番号
- 請け負った建設工事の完成を確認するための検査が完了した年月日
- 工事目的物を注文者に引渡した年月日
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発注者(宅地建物取引業者を除く)と締結した、住宅を新築する建設工事の請負契約に関する事項
- 当該住宅の床面積
- 建設瑕疵負担割合(発注者と複数の建設業者の間で請負契約が締結された場合)
- 住宅瑕疵担保責任保険法人の名称(資力確保措置を保険により行った場合)
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下請負人と締結した下請契約に関する事項
- 下請負人に請け負わせた建設工事の名称及び工事現場の所在地
- 下請負人と下請契約を締結した年月日
- 下請負人の商号・名称、住所、許可番号
- 下請負人に請け負わせた建設工事の完成を確認するための検査を完了した年月日
- 下請工事の目的物について下請負人から引渡しを受けた年月日
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特定建設業者が注文者となり、資本金4,000万円未満の法人又は個人である一般建設業者と下請契約を締結した場合に追加で記載すべき事項
- 支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段
- 支払手形を交付したときは、その手形の金額、交付年月日及び手形の満期
- 下請代金の一部を支払ったときは、その後の下請代金の残額
- 遅延利息を支払ったときは、その額及び支払年月日
補足:上記の帳簿は、電磁的記録(電子データ)によることも可能です。ただし、保存方法や整合性の確保については関係法令・ガイドラインに従ってください。
帳簿の添付書類
帳簿には、契約書若しくはその写し又はその電磁的記録を添付しなければならない(建設業法施行規則第26条第2項、第6項)。
また、以下の場合にはこれらの書類に加え、次のそれぞれの書類を添付する。
-
特定建設業者が注文者となって資本金4,000万円未満の法人又は個人である一般建設業者と下請契約を締結した場合は、下請負人に支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段を証明する書類(領収書等)又はその写しを添付すること。
-
自社が、発注者から直接請け負った建設工事について、公共工事にあっては下請契約を締結した場合、それ以外の建設工事にあっては下請契約の総額が5,000 万円(建築一式工事の場合は8,000万円。)以上となる場合は、工事完成後(建設業法施行規則第26条第3項)に施工体制台帳のうち以下に掲げる事項が記載された部分を添付すること。
- 自社が実際に工事現場に置いた監理技術者の氏名及びその有する監理技術者資格
- 自社が主任技術者又は監理技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
- 下請負人の商号又は名称及び許可番号
- 下請負人に請け負わせた建設工事の内容及び工期
- 下請負人が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名及びその有する主任技術者資格
- 下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
補足:上記の帳簿の添付書類は電磁的記録によることも可能です。
帳簿の保存期間
営業所ごとに、帳簿を備え、5年間保存することが必要です。
建設業法第40条の3では、建設業者は営業所ごとに、営業に関する事項を記録した帳簿を備え、5年間(発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものにあっては、10年間。)保存しなければならないとされている。(建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第28条第1項)。
営業に関する図書とは?
発注者から直接建設工事を請け負った場合は、営業所ごとに、以下の営業に関する図書を当該建設工事の目的物の引渡をしたときから10年間保存しなければならないとされている。(建設業法施行規則第26条第5項、第8項、第28条第2項)
- 完成図(建設業者が作成した場合又は発注者から受領した場合のみ。)
- 工事内容に関する発注者との打ち合わせ記録(相互に交付したものに限る。)
- 施工体系図(法令上施工体系図の作成が義務付けられている場合のみ(公共工事にあっては下請契約を締結した場合、それ以外の建設工事にあっては下請契約の総額が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000 万円。)以上となる場合。)。)
補足:上記の図書は電磁的記録によることも可能です。
出典(参照元):添付ファイル「建設業法令遵守ガイドライン(第11版)国土交通省不動産・建設経済局建設業課作成」(資料を元にWeb表示用に再構成・文章を調整)。
許可の更新と変更
建設業許可を取得した後も定期的(更新、決算変更)または状況に応じて届出を行わなければなりません。
許可の更新
建設業許可の有効期間は、許可のあった日から5年です。
5年毎に更新の手続きを行います。この更新の手続きは、福岡県知事許可の場合は有効期間の満了日から3ヶ月前から満了日の30日前までに行わなければなりません。(国土交通大臣は、6ヶ月前から)
建設業許可の更新についての詳しい解説は、下記のリンクをクリックしてください。
許可の変更
許可を受けた後に申請した事項に変更が生じた場合には、決められた期間内に変更届出書を提出しなければなりません。
建設業許可の変更についての詳しい解説は、下記のリンクをクリックしてください。
許可業種の追加、許可換え
建設業許可は、29業種に分かれた業種別許可制度です。軽微な工事や附帯工事以外は、許可を受けた業種以外を請け負うことはできません。
許可を受けた業種以外の工事を請け負う場合は、許可業種を追加することが必要です。
建設業許可の業種追加についての詳しい解説は、下記のリンクをクリックしてください。
また、「大臣許可から知事許可へ」、「知事許可から大臣許可」、「A知事許可からB知事許可へ」といった許可換えは、新たに新規で許可を受けるのと同様の手続きなります。
